北海道は野生動物と人の生活圏が近く、ライム病や、最近になって発見されたダニ媒介性脳炎ウイルス、エゾウイルス感染症など、他の地域よりも未知のマダニ媒介性の病原体がいる可能性が高い地域です。
マダニは、ワンちゃんやネコちゃんの体表面に寄生して血液を吸い、様々なトラブルを引き起こす寄生虫です。マダニは特に耳や目・口・鼻周り、胸、内股、お尻周りなど毛が薄い部分に寄生します。マダニの唾液にはさまざまな病原体が含まれており、様々な感染症を媒介する可能性があります。
マダニによる感染症にはバベシア症やエールリヒア症などがあり、これらは動物だけでなく人間にも影響を及ぼします。特に注目すべきは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という感染症で、これはマダニが媒介する人獣共通感染症です。SFTSは動物から咬傷や接触によっても人に感染し、重篤な症状を引き起こすことがあります。現在、日本ではSFTSによる人の発症例も多数報告されています。
マダニによる被害や感染症のリスクを踏まえ、ペットのみならず家族全体の健康を守るためにもワンちゃんやネコちゃんのマダニ対策は重要です。