骨・関節の病気
犬の関節炎について
犬の関節炎は、関節の炎症や変形などが原因で、運動時の痛みや不自由感、歩行の不安定などの症状を引き起こす疾患です。
犬の関節炎の原因はさまざまで、大きく感染性と非感染性に分けられます。感染性関節炎は、細菌や真菌、ウイルスなどが関節に侵入して炎症を引き起こすものです。非感染性関節炎は、外傷性や遺伝、肥満、加齢などが関係しています。非感染性関節炎の中でも、免疫介在性多発性関節炎は、自己免疫の異常によって正常な関節組織が攻撃されてしまうもので、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどが含まれます。
犬の関節炎の症状は、運動時に関節部分に痛みや不快感が生じることが多く、歩行が不安定になり、階段の上り下りが苦手になることがあります。また、食欲不振や体重減少も見られる場合があります。関節部分に腫れや熱感がみられる場合もあります。
診断方法には、症状の観察や問診、触診から始まり、血液検査やX線、CTなどの画像診断を行うことがあります。関節液の採取が必要な場合もあります。
治療法は、原因により異なりますが、鎮痛剤や消炎剤、サプリメントなどを用いて痛みの緩和により症状の改善を図ります。理学療法として減量、適切な運動、フローリングなどの滑りやすい場所での飼育を避ける、飛び乗りや飛び降りの制限を行い関節にかかる負担を減少させるなどの対応も必要です。外科的に手術が適応になることもあります。
関節炎は一度発症すると完全に治すことは難しく、徐々に進行していくことが多い病気です。そのため、早期発見・早期治療が重要であり、日常生活で関節に負担をかけないように注意する必要があります。
猫の関節炎について
猫の関節炎も大きくは感染性と非感染性に分けられます。猫でよくみられる関節炎は、変形性関節症で、多くの高齢猫が、変形性関節症を起こしていると考えられています。10歳以上の猫では80%以上の個体に変形性関節症に起因したレントゲン上の変化がみられるといわれています。
猫の関節炎の症状としては、歩行時に足を引きずる、運動や高いところに登るのをいやがる、飛び上がる前に躊躇する、爪とぎや毛づくろいが減る、トイレの出入りがスムーズではなくなっている、身体を触られることを嫌がる、足を舐めることが増えたなどが挙げられます。
検査方法としては、犬と同様ですがレントゲン検査が一般的で、関節の変形や骨の密度の変化を確認できます。
治療法としては、鎮痛剤や消炎剤、サプリメントの投与、肥満の場合は、体重管理が大切な治療法の1つとなります。滑りにくい床材への変更や、こまめな爪の手入れも関節への負担軽減に役立ちます。
やはり早期発見・早期治療が重要であり、治療によって改善されることも多いです。
最近、安全性が高く、月に1回皮下注射することで痛みを持続的に和らげることができる、フルネベトマブ(猫用抗NGFモノクローナル抗体製剤)が認可され、治療方法の選択肢が増えました。
ワンちゃん・ネコちゃんの状態や飼い主様のご希望・要望様等により治療が掲載中の内容と異なる場合がございます。